現存植生と原始植生
このような植生、群落、群集あるいはその上位ならびに下位単位は、一般に他の集団の類型概念と同じように、大きく二つに分けて考えられました。
まず、現実に野外で目で見、手でふれ、測定可能な具体的な植生が考えられますが、それを「現存植生」とよびます。
「現存植生」と言う場合、その対象となる具体的植生が自然のままであるか、人の手が加えられているかは問われています。
世界の大部分の地域のように、長い時間の流れの間にさまざまな影響によってその土地本来の自然環境の総和の具現としての自然植生が変容を強いられている文化景観域に各種人間活動の影響とつり合って持続している植生を「代償植生」とよびます。
このような人間によって現存植生が各種の代償植生に変えられている地域では、かつて人間が影響を加える以前の千年あるいは一万年前の(大気等は現在と大きくは変っていないと考えられる)時代の植生を、原植生、オリジナル植生あるいはバージン植生とよびます。
したがって従来の植生概念では、大きくは、植生・植物群落・群集も「現存植生」と人間が影響を加える直前の「原始植生」の二つがみとめられるにすぎなかったのです。
ところで、現在の人間の生活域のように、過去から現在までの間にさまざまな人間の影響が加えられてきたところでは、もし、今人間の影響を完全にストップしたとしても、その土地の立地条件が貧化していたり、逆に一時的に人間の影響によって過富養化している場合があります。
そのまますぐもとの原始植生が成立する条件とはいえません。