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2011年01月 アーカイブ

現存植生と原始植生

このような植生、群落、群集あるいはその上位ならびに下位単位は、一般に他の集団の類型概念と同じように、大きく二つに分けて考えられました。


まず、現実に野外で目で見、手でふれ、測定可能な具体的な植生が考えられますが、それを「現存植生」とよびます。


「現存植生」と言う場合、その対象となる具体的植生が自然のままであるか、人の手が加えられているかは問われています。


世界の大部分の地域のように、長い時間の流れの間にさまざまな影響によってその土地本来の自然環境の総和の具現としての自然植生が変容を強いられている文化景観域に各種人間活動の影響とつり合って持続している植生を「代償植生」とよびます。


このような人間によって現存植生が各種の代償植生に変えられている地域では、かつて人間が影響を加える以前の千年あるいは一万年前の(大気等は現在と大きくは変っていないと考えられる)時代の植生を、原植生、オリジナル植生あるいはバージン植生とよびます。


したがって従来の植生概念では、大きくは、植生・植物群落・群集も「現存植生」と人間が影響を加える直前の「原始植生」の二つがみとめられるにすぎなかったのです。


ところで、現在の人間の生活域のように、過去から現在までの間にさまざまな人間の影響が加えられてきたところでは、もし、今人間の影響を完全にストップしたとしても、その土地の立地条件が貧化していたり、逆に一時的に人間の影響によって過富養化している場合があります。


そのまますぐもとの原始植生が成立する条件とはいえません。

植生についての調査から何がわかるか

積極的に環境を創り上げようとする場合には、このような人間の影響下に代償植生が存続している地域で、もし人間の影響をストップしたら、その土地の自然環境の総和が現時点でどのようなもっとも安定した自然植生を支える潜在能力をもっているか・・・


このような、理論的に考察しうるもっとも多層で安定した自然植生は何かを知る必要が出てくるでしょう。


それを、「現在の潜在自然植生」と呼びます。


私たちが生物集団・植生を考える場合、具体的に存在している現存植生と、そのデータを図や表に表現し理論的に考察しうるよう抽象的化した概念としての植生と二つあります。


ちょうど科学の研究の最初と最後の段階で一つの類型化という理念が導入されるように、生命集団.植生をみる場合にも、まず初めに人の顔ほど多様にすべてが異なる個々の植物を野外の現地で実際に調べます。


そして、種の組合せとしての植物群落を、具体的な植生あるいは群落として把握します。


そして次に、個々の同じ形質をもった植物の集団として、類型化の概念を適用して抽象化された植物群落としての理解・把握も必要です。


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